Simpel en Lekker

オランダでの日々の生活、子育て、仕事

ポーランド出張(共産主義から資本主義へ)


仕事は非常に順調に進んだのですが、詳しい内容は、製品が発売するまではできないのですが、とても刺激が多く、学びの多い出張でした。

今回の旅で、僕が一番興味を持ったのは、このポーランドという国はどのようにして共産主義から資本主義に移行して、その時に実際に市民レベルでどのようなことが起こり、どのような感情を人々は抱え、そして今現在と未来に対してどのような思いを抱えているのだろうということでした。

英語もほとんど話せないタクシーの運転手などとも、Google翻訳を使いながらポーランド語でなんとか会話をしたのですが、コミュニズムはクソ喰らえだ、プーチンもロシアも出て行けと言っていたのが非常に印象に残っています。

今回の出張で打ち合わせをした会社の担当者の人と話し、本当に色々なことを教えてもらったので(19時から24時まで語り明かしました笑)、シェアしたいと思います。
そのためには、歴史を話すより、彼の人生を話す方がわかりやすいと思うので、彼の人生を記したいと思います。

彼は1980年12月にこのKrakowで生まれました。
僕が出張まえに調べた情報では1987年から脱共産したと書かれていたので、そのことを聞いてみたところそれはあっているとのことです。

もちろん彼も、小さい頃のことは完全には覚えていないので、半分は親などから聞いた話ですが、共産時代は、スーパーにいっても殆ど物はなかったそうです。
決められた食事だけしか買うことができず、買うと言うよりはフードチケットが配られて、全員がスーパーで同じジャガイモ、マーガリン、ソーセージなど、同じ分量が与えられていたそうです。もちろん彼らも自分たちと同じ時代に生きる、陸続きのヨーロッパの西側で起こっていることは知っていたので、1987年あたりから盛んにデモが行われて、そこから体制が翻ったそうです。いきなりというよりは、5年くらいかけて段階的に変わって行ったようです。

彼のお父さんはエンジニアで、もちろん国営の化学企業で働いていたのですが、共産主義が終わった瞬間に仕事がなくなってしまい、その後もずっと仕事が見つからなかったそうです。
そして、お母さんが、親戚を頼ってアメリカに渡り、単身で出稼ぎし、家族はポーランドに残るという生活を10代の時はしていたそうです。お父さんが失業してから7年後、彼が16歳の時にお父さんはなくなってしまい、お母さんも家に子供だけを置いておけないので、ポーランドに戻ってきて起業をしたそうです。オフィスの清掃会社を起業して、家族を養ったそうです。

これが共産主義から資本主義の時に起きた変化、そしてそれと同じかそれ以上の変化がEUの加盟だったそうです。
この時の変化は体制として変わったと行っても段階的に変化していましたし、完全な自由市場にまだなっていなかったそうです。
しかし、2004年にEUに加盟した途端に、非常に多くのサポートが西側の先進国からきて、一気に本当の資本主義が始まったそうです。
ポーランドの人々はEU加盟以前のポーランドをポーランドAと呼び、それ以降をポーランドBと呼ぶそうです。

共産時代には、農家で働く人たちは、必要がない日も毎日仕事に行き、ただ座っているだけのような働き方をしていたそうですが、資本主義になり、そのような人たちは雇う必要がなくなったので、当たり前ですが一気に解雇されたそうです。
都市部の人たちは資本主義の恩恵を受けましたが、田舎の農家を中心とした働き方をしていた大量の人は仕事がなくなって本当に困ったそうです。そんな時に大量の資本が流れてきて、都市部を中心に雇用が創出され、多くの人が都会に出てきたとのことです。

このことは街を散歩していても市内の中心部だけ急速に新しい建物が建ち、外国から資本とビジネスが参入していることも感じて取れました。

そして国自体もGDPとしても急激に発展していて、今後10年も間違いなく発展するだろうとのことでした。
そして僕も町や人や産業をみてもそう思いました。具体的には仕事をしても思うのですが、ポーランド人は勤勉で真面目に働き、仕事の質が高くスピードが早いです。(戦後の日本のような感じでしょう。)そして、地政学的にもヨーロッパの市場が陸続きで広がっており、共産時代に公的資金で莫大しな資金で作られた工場施設が民営化されているため、競合優位性も高いことが今回の出張でよくわかりました。10年後にはスペインなどもポーランドに抜かれているかもしれません。

そのほかにもポーランドの歴史、世界の歴史や言語ファミリーや人類学などから始まり色々な話をして刺激に満ち溢れているのですが、そこまで書くと本一冊くらいの内容になるので、割愛します。この数百年だけみても、ポーランドは大繁栄した16世紀から、ナポレオンの時代、ドイツの時代、アウシュビッツ、世界大戦、ロシアの共産時代、資本主義など語りつくせないです。


ただ、共産主義から資本主義に移行した社会の雰囲気というか香りが少しでも伝われば嬉しいです。
激動の時代を行き抜いた人たちは本当に強いなと思います。そして社会は常に流動しているのだなと改めて実感しました。


まさにヘラクレイトスのいうEverything flows. そして、ダーヴィンのIt is not the strongest species that survive, nor the most intelligent, but the ones most responsive to change.この2つが僕のこの出張のコンクルージョンです。

パパ