Simpel en Lekker

オランダでの日々の生活、子育て、仕事

父親の子育てとワークライフバランス

朝8時30分前に学校に娘を送りにいくと、何人もお父さんに出会う。

比率でいうと3割くらいはお父さんだろうか。またお迎えの時間も同じくらいの比率のお父さんに出会う。(14時30分くらい)

ワークシェアリングが進んだオランダならではのことで、日本では珍しいことかもしれない。


我が家はどうかというと、通い始めということもあるが、だいたい夫婦でいっている。自慢ではないが、日本にいるときもよっぽど仕事が調整できない場合をのぞき、娘のこども園(幼稚園のようなもの)への送りも迎えも父である私がほとんど行っていた。

きっと、周りからは、私が失業中か、ものすごいお金持ちなんじゃないかと勘違いされていたんじゃないかと思う。ちなみに私は自営業です。


オランダにきてからも、16時には仕事を切り上げて、16時30分には子供達と一緒にシャワーに入って、18時にはみんなで食卓を囲み夕飯を食べ始める。

19時過ぎには1歳2ヶ月の息子はベッドにはいり、娘も20時過ぎにいつも就寝する。

もちろん仕事や出張の都合もあり、毎日は難しいけど、日本にいた時もだいたいそんな感じだった。


どちらでもだいたい同じことをしているけど、オランダにきてからそれがやりやすくなったのは感じる。

日本との仕事は8時間の時差があるため、こちらの夕方前になるとメールもこなくなり、こちらも気持ち良く止めれる。Skypeでのミーティングはこちらの朝5時か6時くらいから始めれば(日本時間の13時か14時)、子供が起きる前にできてしまう。

オランダ人は残業はほとんどしないので、スパッとこちらが早めに仕事をやめてもとくに問題になっていないからだろう。


もちろん私も昔からこんな生活をできていたわけではない。3年前の3月までは日本で撮影スタジオを複数店舗営業しており、どうしてもテレビなどの撮影業界で働いているため、
ほぼ72時間ぶっ通しでの撮影に対応したり、
いきなりのトラブルで深夜に呼び出されたり、
夜の3時に個人の携帯電話に電話がかかってきて、5時からの撮影に対応したり
家に帰れない生活もあり、もう無茶苦茶な生活だった。
娘を二人で抱っこ紐で抱えながら、ひたすら夫婦で夜な夜なダイレクトメールを郵送したり、妻にもずいぶん迷惑をかけた。


こんなことをいつまでやっているんだろうと考え、大幅に事業を縮小することにした。

もちろん、稼ぎも大幅に減った。

でも、自分の人生において、何が大切なのだろうと考えた時に、子供の小さい間は、家庭の時間に集中しようと思い、この決断をした。

オランダへの移住も、教育システムという理由もあるが、家族でこの生活を手に入れたかったという理由もある。

私の父は忙しく働いている人だったが、私と同じく自営業で、学校から直接父の働く職場に帰って、職場で遊んだりしたのは良い思い出だ。また父の腕に抱かれながら、レジ閉めをしていたり、店を閉めた後に、一緒に在庫を数えたり、お皿を拭いたり、工場で遊んでいたのも覚えている。

そんな経験もあったから、今も自営業を選んだんだと思う。

同様にそのような経験から、子供の教育で一番大切なことは親から愛されて育つことだと信じているし、特に生まれてから数年は子供達との物理的な時間を多くとって接することも大切だと思っている。


もちろんオランダでも自営業をやるが、ワークライフバランスは言うは易し行うは難し。当たり前だが理想だけでは食っていけない。しっかり稼がないといけない。
また、オランダで始めたビジネスも、どうしてある程度軌道にのるまでは、集中的に働いて事業を作り上げないといけないのもわかっている。

バランスをとることによって、どちらも中途半端になってしまっては元も子もない。

今自分なりに出している結論は、
・振り子のように、仕事に集中する時期、家庭に集中する時期を極端になりすぎないようにつくる
今年の夏くらいからその時期に入るのは覚悟している。
・仕事と家庭以外の趣味などは一旦捨てる
オランダでテニスを始めようと思ったが、そういうことに時間をつかっていたら何かが犠牲になる。

サラリーマンと自営業ではシチュエーションは違うかもしれないが、どちらもワークライフバランスは簡単にできるものではない。

明確な答えは僕の中ではでていないが、このことは間違いなく社会全体があたっている一つの問題だと思う。


最後に、ジェイムズ・パタースの『スザンヌの日記』の一節より引用

「人生を5つのボールでお手玉するゲームだと考えてみて。それぞれのボールには、仕事、家族、健康、友達、誠意、という名前がついている。あなたは今、その全部をうまく宙に浮かせている。ところがある日、仕事のボールがゴムでできていることにようやく気付く。落としてもそのボールは跳ね返ってくる。他の4つのボール-家族、健康、友達、誠意はガラスでできている。どれも一度落としたら、生涯消えない傷がついて、欠けて、もしかしたら粉々に割れてしまうかもしれない」


パパ